沖縄への想い②
職務上、沖縄に住み始めたのが今から約26年前。当時はモノレールもまだ作り始めの状況でもちろん美ら海水族館も存在しなかった。美しい海と南国の太陽の照り返しを代表とする素のままのオキナワが感じられた頃だったのかもしれない。
旅行をするということと、実際にそこに住むということはやはりいろいろと違ってくる。旅行で訪問すれば、帰るのがさみしくなり名残惜しさを感じることでしょう。住めば都とも言いますが、実際のところ住んでみると幾多の「こんなはずではなかった」や観光地を旅行する状況とは考えられないことに遭遇する。
住み始めた当初は、まるで異空間のような沖縄の生活に毎日驚き、新しい出会いや経験もあり楽しい生活の始まりを十分に予感させた。
しかしながら、数ヶ月もすると当然ながら仕事という束縛から離れることはできず、中心が仕事へとシフトしていく。そうすると周りの風景が一瞬に変化をしていく。旅行時に感じるワクワク感や楽しみが、ごく普通の忙しい日常に変化し目に見える風景が薄く流れていくように感じられる。そこに驚きも感動もなくなり日々職務に追われるだけのまるでブラックホールのような空間に迷い込んだ感覚がよぎった。
ブラックホールとは少し言い過ぎかもしれないが、風景が流れていくという表現は少し言い当てているのかもしれない。風景に感情が左右されない、美しいものを美しいと素直に感じられる感覚が薄れていくというイメージだった。
最終的にちょうど3年間沖縄に住み、退職とともに離れることになった。とてもよい沖縄の風景や感覚が、長期滞在と仕事の軋轢により疲弊していくのが感じられた。四季の感覚がなくなることすら疎ましく感じ、離れることにさびしさのひとつも感じることはなかったー
沖縄を離れてからようやく沖縄の良さを認識することになり、その後毎年のように沖縄へ旅行することになるー